両親が離婚し、母親について田舎へ越してきた主人公。 それに伴い、田舎の学校へと転校する。それが７月の頭。 転校生、それも３年のこの時期に、ということで、一時は周りから興味を持たれたが、あまりに何事にも無関心で、 勉強も運動もそこそこで特徴なしという主人公に、一週間もするうちに誰もが興味を失い、教室では特別無視はしないが構いもしないというスタンスが確立された。そして７月の１９日、夕暮れ時、主人公の家の近くにある廃校舎、それの中に主人公は何かを見つける。ただ、何となく……何となく、主人公はそれに惹かれ、廃校舎の中に足を踏み入れる。微かな物音を頼りに、“それ”へと辿りつく。“それ”は一人の少女。 紅の夕日に染まりながら、教室の中で、一人佇んでいる少女。 どこにでもいそうな少女。だけど、一つだけ違うところがある。彼女は主人公を見ていない。どこか遠くを見ている。 少女は何も言わず、教室を出て行く。 一人取り残される主人公。翌日、終業式の朝。通学途中にお隣さんの葛木恵に出会う。何となく一緒に行くことになる。 話の中で、昨日の出来事に触れる。それは千夜だと主人公に教えてくれる。千夜のことを変な奴だという主人公に、恵は千夜の精神薄弱のことも伝える。偶然に出会った「ものぐるいの少女」千夜。 初めは嫌っていた主人公は、やがて千夜にどこか惹かれていく。